コーチングとは、ひとりひとりの「可能性」を最大限に引き出し、自発的行動を促進しながら自己実現をサポートする双方向のコミュニケーションです。
目まぐるしく経営環境が変化し、創造性と柔軟性のある組織が求められている状況において、個人の価値観も多様化してきています。
コーチングは、「人」に焦点をあて、自ら考え、行動し、さらに自らの持てる能力や可能性を最大限に発揮する「自立型人材」を育成するために機能します。
「なりたい自分はどんな自分か?何を大切にしたいのか?」を尊重し、本人が気づいていない内なる可能性を引き出し、自らがその可能性を最大限に発揮できる行動、「何をしたいのか」をサポートしていきます。
職場の医療福祉スタッフや患者・利用者の “やる気” “可能性” “やり方” を引き出すことで、「個人の充実」を満たすだけでなく、双方にとっての看護・介護の質を最大限に高めていくことができます。
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患者や利用者は、疾病だけでなく、自分自身の生活や生き方を受け入れ、自分の価値観を尊重してくれる対応や、医療福祉が連携したチームによる質の高い医療福祉を求めています。
病気に関する情報はメディアの発展により、自由に入手できるようになり、また、インフォームド・コンセントによって、患者が自分の病気と医療行為について、知りたいことを“知る権利”が与えられました。
患者や利用者は、チーム医療福祉の主体者であり、情報の共有と自己決定のサポートを望んでいます。それゆえ、医療福祉従事者は、患者や利用者やその家族、他の医療福祉スタッフと協働的な関係を築き、価値観やライフスタイルを尊重し、互いの自発性を高める双方向のコミュニケーション力がより必要になってきています。
また、医療過誤訴訟が取り上げられることも多くなり、本当のことを教えてほしいというと患者側の声が医療側に伝わらず、訴訟という解決策をとらざるを得ないこともあるでしょう。これは、医療従事者と患者との信頼関係が希薄な場合ほど起こると思われます。
医療現場で大事なのは、医療従事者と、患者・家族との信頼関係です。
患者やその家族との信頼関係を深めるには、まず、お互いに安心して関わりあうことができる関係を築くことが大切です。
大事なことは、『聞く』ではなく『聴く』です。 『観る』ではなく『看る』です。
まず、看護師が、患者やその家族の心を看て、聴いて、感じることです。患者を受け止め、患者やその家族の不安を取り除く安心な場、疾病に勇気を持って向き合える場を創ることが大切です。
そして、信頼関係を深めながら、患者に問いかけ、患者自ら考え自ら決定し、自主的に治療に向かわれることを支援します。
患者にとって、治療する目的を明確にし、治療法に対しての自己決定を促し、自分の力を最大限に活かした自己治癒力を高めていくことが看護であり、これは、コーチングの概念と同じです。 |
「看護」と「コーチング」
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「看護とは、患者の生命力の消耗を最小限にし、自分の力で回復するように、
教えるのではなく、環境を整えること。その人の直る力を助けること」
『ナイチンゲール覚書』
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「コーチングは、自らのゴールに向かって、自ら考え、行動し、自己の力や
可能性を最大限に発揮して、自発的な行動を支援すること」
『コーチングとは』 |
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ナイチンゲールの覚書にある「患者の生命力の消耗を最小限にし、自分の力で回復する」というのは、言い換えれば、「新たな能力を修得し高めるというよりも、今、自己の持てる力を充分に引き出し活かす」こととして捉えられます。
そして、それを「教えるのではなく、環境を整え、助ける」というのは、まさに、「自発的な行動を支援する」ことになります。
また、ここで問われるのは、環境です。
もちろん、新鮮な空気、光、暖かさ、清潔さ、静かさに適切な活用、食物の適切な選択と供給などの物理的環境を整えることももちろん重要ですが、患者や家族が、本当の気持ちを話すことができる安心で勇気づけられる心の環境を整えることも必要です。
ここで、大切なことは、患者や家族の本当の気持ちや思いを尊重し、共感してともにいることです。
そして、入院中も、退院してからも、そして、在宅療養においても、「生き生きとその人らしく生きる」ことを支援することです。
つまり、よりよい人生のために、残存機能を大切にし、生活における活動や社会への参加を、その人の価値観や思いを支えながら、なだらかな成長ともいえる支援をしていくことです。
そのためには、患者が自ら選択し、行動するという自己決定を助けるために、看護師としての価値観にとらわれず、患者本人でさえ気づいていない心の中の思いや気持ちを引き出し、ありのままに受け止めて、「相手の価値観や生き方を尊重し、協働的に関わりながら、患者の自主性を引き出す」ことが大切です。
「心の環境を整える」には、以下のことが必要になります。
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「心の環境を整える」ための考え方
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患者の不安や心配を取り除き、希望を与え、自発的に治療に向かって、患者自らが選択し、行動が出来るようなサポートをする。 |
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患者の「今できること」に目を向け、「できる力」を信じる。 |
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患者の疾患だけでなく、ライフスタイル・価値観・社会的立場など、その人を取り巻く全てを受け入れること。 |
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患者のやりたいこと、希望、未来を含めて人生全体を捉えること。 |
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患者教育とは、患者に疾病に対する知識や情報を与えて、症状を改善したり、悪化しないようにするための具体的な行動を教育・指導することに加え、患者や家族が疾病を正しく理解し、「病気と向き合いながら、どんな生活を送りながら生きていきたいのか」を支援することも大切な目的です。
そして、看護計画とは、その目的を具体的に実現するものです。まさに、コーチングにおける自発的な行動を促す計画なのです。そのためには、看護計画には、患者や家族の生活スタイルや価値観を含めた人生全体を捉えたものである必要があります。
また、訪問看護では、家族との連携も密になります。医療・福祉・看護を三位一体化し、家族を通して、患者のより生きる力を引き出していくことが必要です。福祉と連携しながら、家族への指導を通して、在宅ケアへの思いや方向性の舵を取ることが役割になります。
患者本人が、どこまで家にいたいのかを尊重することはもちろんですが、家族の経済状況や、看護・介護へのマンパワーなどの環境も含めて、患者と家族の「何を一番大切にしたいのか」について、見極めていく必要があります。
看護師は患者や家族に一番近い存在であり、患者や家族と協働的に関わることで、相手の本当の気持ちを、聴き取り、勇気と希望を与えることができる存在です。
また、看護師は医療福祉における他部署との連携を司るコーディネーターでもあります。
真のチーム医療福祉を確立するためには、医師や薬剤師など医療従事者、ヘルパーやケアマネージャーなどの福祉従事者との連携を図り、互いの立場を尊重し、医療の目的と福祉の目的、そして患者の人生の目的に向けて共通領域を広げていく必要があります。
医療福祉におけるコーチングは、それぞれの立場でのあり方を見つめあい、互いの力を最大限に引き出しあい、連携を密にしていきます。
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